キャリアハイ
プロスポーツの選手寿命は短い。
凡そ20代後半でピークを迎え、30代半ばにはキャリアを終える。
その点、シロブタのキャリアハイは20代後半からが勝負だった。
毛髪の量は相変わらず少子化だったが、性欲旺盛であり、それは実務においても衰えることは無かった。
創業者の死後、会社は次世代へのムーブメントが起こった。
ある日、支配人に呼ばれた。折り入って話があると。
遂に役職者への道かと思ったら、なつこと刈り上げ君も部屋に呼ばれたのである。
いったい何が起こるのだろうかとワクテカしていると、支配人はボールペンをかざしてこういった。
「あなたたち、3本の矢って知ってる?3本は折れにくいのよ」
何言ってるんだこいつと思いつながら聞いていると、要するにお前らは3人で一体だと。
常に協力し、切磋琢磨しながら仕事に禿げめとのことだった。
俺は落胆した。天下への道はまだ遠いのかと。
まもなく30を迎えるであろう俺にとって、ここがキャリアハイへの登竜門なのだ。
部屋を出て、二人がつぶやいた。「3本って、一体何をすればいいんでしょうかねえ」
俺はモテたいし、浮気もやりたい。こんなところで止まっている場合ではないのだ。
帰りにスロットに行き、クソ負けた。何もかもいやになりかけた時に電話が鳴った。
支配人からだ。
「ねえ、表参道にビルを買うわよ。15億で。あなた、やってみない?」
喜んで!!
電話を切ると、台に戻った。
俺は3枚掛け専用台に2枚しか入れていないのを忘れ、レバーをたたいた。
フリーズかと思い、ケツが浮いて屁が出た。
臭いなあ。
つづく