30代ハゲの俺が不動産業でモテた話

女にモテる 金にモテる 不動産は欲望の金脈

あのハゲ野郎

俺は毎日のストレス発散も兼ねてジムに通っている。

全く痩せることも無いし、大して面白くも無いのだが、エロいインストラクターとの交流と、デブのおじさんが頑張っている姿が見たくて通っている。

昨晩もいつものように5キロほどのランを終えてワークアウトした。

 

ふぅー。体中に血が巡って来やがる。

運動した後ってのは善行を行ったというか、世の為人の為に良いことをした気持ちになる。

 

サウナに入って更衣室の隅で着替えていると、

いつも大人しいアトピーのおじさんが急に吠え出した。

 

「あのハゲ野郎!ぶっ殺してやる」

「俺を舐めやがって、何様だ!」

 

頭の中でジムにいるハゲを思い浮かべた。

うーん、およそ3人くらいに絞れたぞ。

しかしそのうち2人のハゲはおじさんの真横でパンツを履き替えている。

本人の前でそんなことを言うとは到底、思えない。

 

まさか、俺?

 

何かしたかな。

 

記憶に無いが、何かしたのかもしれない。

 

しかしそんなことで頭にきてどうするんだ。

頭が来ている奴に頭に来ても仕方あるまい。

 

世の中には辛いことも沢山あって、不動産を管理していると本当にハゲあがるくらいキツイこともある。

 

ちなみにハゲにとって、ハゲ野郎というのは悪口だとは思わない。

何故なら、豚に豚野郎と言って怒るやつはいないからだ。

 

さあ、マスかいて寝よう。

 

ん?携帯を見ると目黒の管理物件からメールが。

「シロブタさんですか、503の長谷川です。実は困っていることがあるんです。明日の14時にうちに来れませんか?」

 

ほう。長谷川さんと言えば、30代独身一人住まいのOLだ。

これは何やらハゲしい展開が待っていそうだ。

 

マスはかかないでおこう。

キャリアハイ

プロスポーツの選手寿命は短い。

凡そ20代後半でピークを迎え、30代半ばにはキャリアを終える。

その点、シロブタのキャリアハイは20代後半からが勝負だった。

毛髪の量は相変わらず少子化だったが、性欲旺盛であり、それは実務においても衰えることは無かった。

 

創業者の死後、会社は次世代へのムーブメントが起こった。

ある日、支配人に呼ばれた。折り入って話があると。

遂に役職者への道かと思ったら、なつこと刈り上げ君も部屋に呼ばれたのである。

 

いったい何が起こるのだろうかとワクテカしていると、支配人はボールペンをかざしてこういった。

「あなたたち、3本の矢って知ってる?3本は折れにくいのよ」

何言ってるんだこいつと思いつながら聞いていると、要するにお前らは3人で一体だと。

常に協力し、切磋琢磨しながら仕事に禿げめとのことだった。

 

俺は落胆した。天下への道はまだ遠いのかと。

まもなく30を迎えるであろう俺にとって、ここがキャリアハイへの登竜門なのだ。

部屋を出て、二人がつぶやいた。「3本って、一体何をすればいいんでしょうかねえ」

俺はモテたいし、浮気もやりたい。こんなところで止まっている場合ではないのだ。

 

帰りにスロットに行き、クソ負けた。何もかもいやになりかけた時に電話が鳴った。

支配人からだ。

「ねえ、表参道にビルを買うわよ。15億で。あなた、やってみない?」

 

喜んで!!

 

電話を切ると、台に戻った。

俺は3枚掛け専用台に2枚しか入れていないのを忘れ、レバーをたたいた。

フリーズかと思い、ケツが浮いて屁が出た。

 

臭いなあ。

 

つづく

シロブタ成り上がり列伝 その1

新大久保のパンツ屋編は、

オチのついたところで小休止にして新章突入。

今日から俺のキャリア形成について書きたいと思う。

 

俺の会社におけるキャリアは薄暗い10坪程度の部屋から始まった。

いま俺が働いているのは本社ビル5階の事務所だが、

入社時は地下ポンプ室横の小部屋に俺を含めた3人の社員と共に働いていた。

仕事の内容は超絶金持ちである創業者の事業パンフレット作成だ。

俺はイラストレーターとウェブの知識があったので運よく採用され、この職を得た。

昼になると、先輩らが机を占領するので、弁当を喰う場所も無く、汚水マンホールの上でメシを喰った。

 

当時の俺はまだ禿げていなかったし、デブでもなく、結構モテていた。

あのブスというか、横沢とも付き合う前で、もっと可愛いキャバ嬢と懇意にしていたのだ。

来る日も来る日もパンフレットのデザインを作り、時折内線で入る支配人の要求に全て答えて来た。当時の俺のあだ名は「ドラえもん」だった。

あんな夢こんな夢一杯叶えて来たのである。

良いパンフレットが出来ると、創業者は直に褒めてくれた。

その時、決まって言うセリフが「金を掌握する人間が全てを支配する」だった。

俺はその言葉に血肉が湧きたつほどの興奮を覚えたものだった。

 

それでも俺の評価は中々上がらなかった。

上階にはそれなりに勤続年数のある先輩らがいたので、やつらが権力のほとんどを独占していたからだ。

 

不遇の数年、、地下で働いていた同僚は次々と辞めて行った。

辞めていくヤツは、必ず会社の愚痴を吐いて辞めて行った。

「シロブタ君もこんな会社にいたら未来もないし、それに僕みたいに禿げるよ」と。

うるせーこのハゲと思ったが、本当に禿げた。

 

おっぺけぺー!!

 

俺はめげなかった。

たとえ、1人になろうともこの会社で成り上がってやると決心した。

そう思わせたのは、親友である軍曹の言葉だ。

”いつでも心にロックンロールを持て” と。

そう言ってやつは樽の様な腹にラーメンを流し込んだ。

 

俺の手持ちスキルとして僅かにあったウェブの知識をもとに、オフィス全体の社内SEとして君臨した。

他は情弱なやつらばかりだったので、圧倒するのにもそれほど時間はかからなかったのだ。オフィスソフト、ネットワーク、時には家のネット回線の相談まで。

 

俺は把握した。社内のネットワークを。

PCや重要データの入ったファイルサーバーも俺がいなければまともに運用できない。

 

社内インフラを掌握するのは最も権力に近づく近道だと知った。

なぜならインフラは、社長だろうがヒラだろうが全員が等しく使うモノだからだ。

そこには上も下もない。

 

例えば便所が壊れてクソが出来なかったら、

いくらシリコンバレーのエリートでも黙ってクソを漏らすしかないだろう?

その便所を直すのは、やつらよりも収入も社会的地位も低い職人達だ。

インフラとはそういうものなんだと学んだ。

 

知らない知識は事象で勉強した。

何かが起こる、何かを学ぶ、そして次の何かにそれを活かす。この繰り返しだ。

これを機に、俺を地下にいる”タダのハゲ予備軍”と軽んじていた同僚達からの株は、

グングン右肩上がりを続けた。

その時期に横沢と知り合った。思い出したくもないのでこの話はしない。

 

もう1つ大切にしていたことは、

地下にいても必ず上の仕事を手伝う。顔を売る。俺を忘れるなと。

仕事にこだわりをもたない。何でもやる。

 

そんなある日、俺の人生を変える出来事が起きた。

 

偉大な創業者が他界したのである。

 

つづく

新大久保のパンツ屋 その2

新大久保にパンツ屋を構えるヤッコは食えない奴だ。

齢60近いババアで、30代の頃からパンツを売って生計を立てている。

 

これまであの手この手で我が社の管理の不備をつき、

賃料相場的にも3割以上は安い金額で入居を続けているのだ。

 

以前、強烈な要求に業を煮やした支配人が自ら乗り込み、ヤッコと対決した。結果は悲惨なもので、支配人は大敗を喫し、店に飾ってあるパンツの量が増えただけだった。

 

新大久保はやや久しぶりだ。相変わらず日中は何をしているのかわからない面々が街を往来し、夜になると異常な繁華性を見せる。

ヤッコの店は夕方にオープンするので俺は新宿角海老に寄りたい気持ちを抑えてまっしぐらに部屋に向かった。

 

エレベーター無しのボロビルを4階まで登ると、汚ねえ看板と店のドアが見えてきた。

店内に入るとパンツが所せましと並べられていて、パンツをかき分けてヤッコのいるレジカウンターまで進む。

 

ヤッコは俺を見るなり、「あらぁ」と声を出した。

どうやらまた整形したようで、目元が叶恭子になっていた。

 

「白豚さぁん、お久しぶり、パンツどう?」

「今日はパンツを買いに来たんじゃありません。滞納している電気代の徴収に来ました」

 

ヤッコは途端に目つきが変わり、「またなの!?いい加減にしなさいよ。この間払ったって刈り上げ君にも伝えたわよ!」

と怒鳴り始めた。

 

刈り上げや横沢ならこの時点で遁走するが、俺は違う。

だてに狭い便所で毎晩抜いているわけではない。

突っ張り棒の様に足を延ばしてしごくのだが、これが太ももの良いトレーニングになり、俺の足は大地から微動だにしないのだ。

「払ってくれるまで帰りませんよ!」

俺とヤッコは払え払わんの口論になった。

 

すると奴は携帯を取り出して、電話をかけ始めた。

「もしもしぃ、警察ですか?うちの店のお客が帰ってくれなくて営業妨害されてるの」

ヤッコは警察に通報したのだった。

 

俺はこれはヤバいと日ごろ鍛えた太ももで跳躍し、

非常階段を駆け下りてトンズラした。

 

全く、とんでもない奴だ。大家相手に警察を呼ぶとは。

ひどく疲れた俺は同業の鬼瓦に紹介してもらったマットヘルスで汗を流すことにした。

 

俺は頭髪も薄いが、体毛も更に薄い。

生まれたての子豚の様にほぼ産毛なのだ。

ケツを向けて嬢のサービスを受けていると、「本当にすべすべですねえ。」と喜ばれた。

 

得意げになってケツをもっと立ち上げると、急に嬢が大きな声を出した。

「やだ!!他の毛は薄いのに、アナルの毛が凄い!!」

 

とんでもない発言だ。耳を疑った。

 

俺は酷く傷つき、このまま屁をかましてやろうかと思った。

 

続く

新大久保のパンツ屋 その1

早朝の給湯室から悩ましい吐息が聞こえる。

ドアに聞き耳を立てると、チャイナの声だ。

どうやら香港で作った男どもを朝からWeChatで誘惑しているようだ。

人民元で欲しいとか、香港ドルで送れとか金の催促をしている。

モテる女はそれでいて大変なのかもしれん。

気付くと俺は自身の股間に手を触れていた。

 

さて、俺はヘアワックスをやめた。

これは俺の私見だがワックスの油は毛根の呼吸に良く無いようで、ベタついた髪は赤ちゃんにさえ毛髪量で負けることがある。そこで俺はヘアスプレーを使うことにした。ふんわりカールのババアが使うヤツだ。

 

慎重に髪型を整えていると、なつこが出社してきた。

「おはよう白豚くん。あれ!?毛髪増えてる?」

ブッサイクだなぁ。なぜこんなブスを彼女にしてしまったのか。

まぁ、俺もハゲてるから仕方ないか。

なつこを適当に相手していると、

重役出勤で遅れて来た支配人が現れた。

 

「白豚さん!あなたに頼みたいことがあるの!新大久保のパンツ屋!!あれ良い加減に出て行ってもらえないかしら!?」

 

俺の会社が一棟で所有している新大久保のビル(築50年)。

ここに入居しているパンツ屋の事だ。

このパンツ屋の女店主ヤッコ(椿鬼奴に似てる)には長年に渡って支配人が苦杯を飲まされて来た。

ヤッコはもう30年も同じビルでパンツ屋をやっている。他にテナントは4人いるが、全てヤッコの支配下であり、牢名主の様にヒエラルキーを築いてクソテナント達を支配している。

 

刈り上げ君となつこを何度も派遣して懐柔を試みたが、パンツの説明を受けるだけで何の成果も得られていない。本当に無能な奴らだ。

 

築古ということもあり、ヤッコ達テナントを立ち退かせて建て替えをしたいのであろう。

仕方ないなあ。俺は毎回こういう役割が多い。

支配人が揉め、刈り上げがかき乱し、なつこが放置する。

 

そして俺にお鉢が回ってくる。

通りで毛髪も減るわけだ。

 

俺はまず、ヤッコに会いに行くことから始めた。

 

続く

 

 

 

 

 

俺の名は白豚

 読んでくれてありがとう。

 

俺の名前は白豚(しろぶた)。30代のリーマンだ。
生まれつき肌が白く、マット風俗嬢から理想の肌だと言われて、
いつもすべすべされる。
だが、俺は毎回絶頂には達しない。

原因は俺ではなく、嬢にある。

客にケツを向ける女などもっての外だからである。

務めている会社は、社員数名の中小零細企業

創業者は大資産家であり、その残された資産を維持していく事に全力を注いでいる。

会社の収益源は創業者が買いまくった不動産だが、

社員数の割には管理物件が多すぎて毎日イライラしている。

 

思えば、この会社に勤続して10年。

奔放な上司と無能な部下、時折エロイ後輩に悩まされて、

数少ない毛髪を減らす毎日を送っているのだ。

趣味はパチスロと風俗。パネルマジックには騙されないぞ。

 

ここで、俺の会社の面々を紹介したい。

勤続年数順に紹介する。

 

社員その1:支配人(しはいにん)

創業者からの寵愛を一身に受け、何十年も我が社に君臨する女帝。
言ったことを聞いていないなど、最近は老化が目立つ。

どら焼きが大の好物である。

 

社員その2:横沢(なつこさん)

勤続は長いがしばしば思考停止し自分の直感で行動するためにミスが多い。
横沢なつこ似だが本人は石原さとみを意識。
この俺、白豚の彼女だ。

 

社員その3:刈り上げ君

司法書士を目指していたが途中で生き方を方向転換し不動産業を志す。
勉学に励んだ結果対話に弱く人間関係の構築が苦手。
この俺を師匠と崇めているようだが、横沢と浮気中。

 

社員その4:チャイナ

事務所のアイドル。ぱるる似。

貧乳だが時折見せるパンチラが俺を悩ませる。

思わせ振りな態度がうまく俺は都度その気になるが、

あっさりかわされてばかり。どうやら刈り上げ君が恋しているようだ。

 

社員その5:ハネマン

最近入社してきたエース候補だが、時折情緒不安定になる。

どうやら支配人の座を狙っている様で、この白豚の脅威となりつつある。

異常な節約家で、常に金が無い。

 

友人1:軍曹(ぐんそう)

時に的確なアドバイスもするが、元来楽しいことを優先するため、

あえて俺をミスリードすることも多々ある。体重80キロ。

炭水化物抜きダイエットを実践している。好物はラーメン。

 

友人2:鬼瓦(おにがわら)

同業の不動産業者であり、俺のライバル。

たまに共闘するが、基本は対立している。

支配人のお気に入りである。